朝陽




目が覚めると、ちょうど頭の上でシートベルト着用を促すランプが点灯した時だった。
「お客様にご案内申し上げます。当機はまもなく着陸態勢に入りまして、約20分後の
午前6時ちょうどにプーケット国際空港に着陸予定でございます。どなた様もお席に
お戻りになり、シートベルトをお締めくださいませ」
まだはっきりしない頭にフライトアテンダントの声が響く。腕時計を見ると7時40分
を指している。あれ・・・おかしいな、着陸予定は6時なのに。ああ、そうか。時差の
分をまだ戻してなかったんだ。あくびをしながら時計を2時間戻す。5時40分を指した
時計を見ると、急に胸が高鳴った。もうすぐ、会える。


	慣れている私は観光客らしき他の乗客を横目に手際よく通関を通って一番空港の
外に出た。そとはまだ薄暗く、少し肌寒い。日本に比べればずっと暖かいけれど、常夏の島
だって雨季の始まりの朝方は少し冷え込むのだ。もうすっかり傷だらけになってしまった、
去年父が買ってくれたブルーのスーツケースを引いて、迎えの人の中に知った顔がないか
確かめてみる。少し目を左にずらしたところで、顔見知りの運転手さんに気づいた。
朝早い出勤でも嫌な顔ひとつせず、愛想よく笑って私のスーツケースを引き受けてくれた
彼に、現地の言葉でお礼を言ってバスに乗ると、やはり少し疲労感に襲われた。午前1時
からのフライトで、今日はこのあと夕方まで授業がある。無理もないだろう。


	空港のカーパークから出て、外を見る。久しぶりの風景。大阪とはまったく違う。
空港から2,3分走ったところで車は小さな坂道に差し掛かった。坂を上りつめたところで、
私は思わず小さく声を出した。
「わぁ・・・」
そこには今まで見たこともないような美しい朝焼けが広がっていた。空も、木も、空気も、
全てがオレンジ色に染まっている。朝陽がとてつもなく大きな存在に見える。私たちの命を
抱えて、今日一日空高く上って光を送り続ける。
「・・・会いたいな、早く」
早く、会いたい。朝陽が私の胸までも焦がしているようだ。会って、この朝陽の綺麗さを
話して聞かせたい。私がどんなに彼に会えるこの日を待ち焦がれていたかということも。








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